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5.未知との遭遇は「ひとり」から

「楽園シリーズ」2点を展示中のチェルシーの画廊Caelum Galleryグループ展オープニングに、息子と2人で出かけた。
いつも歓迎してくれる画廊オーナー夫妻と再会し、賑わうお客さんとの楽しい交流のひとときである。
今回は、ネットを通してお友達になったNJ在住の画家Lさんや、沖縄からたまたまご旅行でNY滞在中の、私の絵のお客様Oさんご夫妻とお嬢さん、さらにいつも忙しい中オープニングに来てくれるデザイナーの友人と、たくさんの方が訪ねて下さった。
Lさんは神秘的で幻想的なテンペラ画を描かれる作家さんで、ご本人も透明感のある素敵な女性である。

さて、パーティーで色々なお客さんの質問に答えている間に、カメラマンをつとめていたはずの息子が居なくなっていた。
「あれ?」と気になりつつも、おしゃべりに忙しくそのままにしていた。1時間ほど経った頃、「面白かった〜」と画廊に息子がもどってきた。
1人で、画廊ビルと周辺のギャラリーを何十軒も見て歩いていたらしい。
きちんと挨拶もして見てきたというから上等だ。どうやら息子はアートに結構興味があるようだ。そういえば、前の学期には美術の成績も上がっていたっけ。兄同様、日頃バドミントンの部活動にいそしむ姿しか見たことがないので本当に意外だ。今回の旅でMoMA以外にもメトロポリタン美術館へ行ったのだが、確かに彼はフロアプランに従って余すことなく見て歩き、企画展示の趣旨もよく理解して楽しんでいた。
それはともかく、チェルシーの最先端画廊街を息子がひとりで歩きたいと思ったことは、アートを抜きにしても素晴らしい行動である。
新しい何かに出会いたければ、1人で行動することだ。友達と、家族とつるんでばかりでは、大きなチャンスを逃してしまう。
自立して自分の人生を歩き出すとき、ひとりでなければならない。孤独でなければならないと思う。情熱を注げる仕事をする過程で、本物の友や仲間と自然に出会えるはずだ。
この子もまたNYへ連れてきて良かったと、心から思った。

旅の終わりに、息子が言った。
「この旅行で、僕がどれだけ感動したかわかるお母さん?」
わかる、わかる。がんばれ!男の子。
               (おわり)

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