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10.Blur Noteとコーヒーの香り

旅の最終日。帰国を翌日に控え、もう1度朝からチェルシーの画廊めぐりに出た。まだ行ってなかったところをまわり、もう1つの出品画廊A.I.R Galleryへも足を運ぶ。私の墨絵作品が売れているのを友人がとても喜んでくれた。その他いくつかまわったあと、グリニッジビレッジまで足を伸ばした。目当てはbleeker st.のコーヒー豆専門店Porto Rico Importingだ。人気店だけありやはり列ができていたが、何十種類とある麻袋入りのコーヒー豆を物色するにも時間を要し、待つのも楽しいひとときである。ストレートからフレーバードまでラインナップはかなりのもので、それぞれdecafやオーガニックもある。濃いフレンチモカやヴィエンナスマトラ、フレーバードからは珍しいパンプキンスパイスというのを選んでみた。250gずつ挽いてもらい、それぞれ$3.00ちょっとという安さである。並ぶわけである。店を出ると夕方。帰路、ジャズの老舗Blue Noteを発見。ジャズは聞きたいねと話してはいたが、いきなりバッタリ出会ってしまった。何をやっているのかなと近寄ってみると、トランペットの巨匠・チャック・マンジョーネのステージで、しかもその日は最終日であった。折りしも予約受け付け開始の時間。結局一番良いテーブルに着くことができ、特等席で卓越したテクニックのフルバンドを楽しむことができた。NY最後の夜にふさわしい最高の時間となった。地ビールのブルックリンラガーで友人と乾杯し、ビレッジの通りをゆっくりと走る赤いフェラーリを見ながら通りを歩く。人生は楽しいもの。人間っておもしろい。苦しみも悲しみもあるけれど、すべてひっくるめてどんと来いという気分だ。
とりあえず、やっぱり絵が描きたい。最高の絵を、ずっと描き続けたい。
              (おわり)

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