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2003/12
楽園のかまぼこ屋
キャンバスにアクリル
F3号 27.2cm×22cm

(個人所有)
沖縄の「かまぼこ」は、きめ細かくて白い上品な板かまぼことは全くちがい、どっしりした重量や中身が完全に「おかず」の感覚だ。
にんじんやごぼう入りのほくほくした出来立ては泡盛のつまみにも最適。沖縄そばにも必ず棒状にした白身かまぼこの輪切りが三枚肉と一緒に載っている。
そして何といっても有名なのが、祝い事で重箱に詰められる「赤かまぼこ」だろう。かまぼこの塊の表面が真っ赤な食紅で彩られている。
祭りごとが終わると「かまぼこ」は刻まれて「ちゃんぷるー」の具になったり、お汁に入れられる。
健康志向のせいか赤い部分はたいていの家庭ではぐるりと切り取って捨てられる。
ウィンナーの着色がすっかり自然志向となった昨今にあって、いつまでも毒々しいまでに「真っ赤」を保ち続ける「赤かまぼこ」。

この「赤」がなくなったら、きっと寂しいだろうな。
2003/11
楽園・夜の遊び場
キャンバスにアクリル
F6 41cm×31.8c

(個人所有)
沖縄でもっともキャンプにふさわしい季節は、秋から冬にかけてだ。日差しはやさしく、乾いた風が心地良くそよぐ。
日中はスポーツしても良し、本を読むのもなお楽しい。外での料理は作るのも食べるのも素晴らしい時間。
夜が更けて空気が冷たくなったら、いよいよ炭火を囲んでアルコールタイムの始まりだ。昼間から燻して作ったスモークチーズでワインを飲んだり、魚をあぶって泡盛も最高。たっぷりおしゃべりして寝坊した翌朝は、摘みたてのヨモギで朝粥を炊いて。。

こんなふうに過ごして日常に戻ると、不思議とパワーがチャージされている。
2003/10
楽園のピザ屋
キャンバスにアクリル

F6 41cm×31.8cm

(個人所有)
NYへ降り立つとすぐに食べたくなるものは?と聴かれると、迷うことなく"PIZZA!"と答える。チャイニーズ、寿司、なんでも美味しく、世界中のあらゆる食材が揃う街。
なかでもNYのピザは、どの店で食べても世界一うまいと言われている。新鮮な野菜や肉、魚介類がぎっしりのった一切れは、ジャンクフードとあなどれない。絞りたてのジュースやスープとともに、旅先で栄養バランスを保つのに最適な食事となる。

NYのピザにはかなわないけれど、家で手作りするピザもまた、好きな具を好きなだけのせられて楽しい。沖縄の蒸し暑さではイーストの発酵も簡単。まとめた生地をビニール袋に入れて放置しておけば、いつのまにか良い具合に膨らんでいる。
久しぶりに作ってみようか!…食欲の秋也。
2003/9
楽園の露天風呂
キャンバスにアクリル
F8 45.5cm×38cm
(個人所有)
全国的に梅雨明けの遅かった今年、9月と言えども秋と呼ぶには早すぎる。

秋のレジャーというと何と言っても“温泉”だ。
風は心地よく、食べ物はおいしく、夏の間影をひそめた芸術・文化への探求も活気を帯びる最高の季節。

静かな山間の温泉も素敵だけれど、大勢でワイワイ楽しむ大衆浴場もまた最高だ。サウナ、水風呂、露天風呂と繰り返し味わったあとの冷えたビールがまたこたえられない。

・・・結局、オールシーズン摂取する飲料はおんなじか。
2003/8
楽園・夜の遊び場
キャンバスにアクリル
F6 41cm×31.8cm

(個人所有)
暑い。暑すぎる今年の沖縄。
浜で寝そべればたちまち火傷。スポーツすれば熱中症。
しかしながら、台風もなく、青空がひろがる絶好の夏。
昼間は日影で楽しんで、外出は夕方以降としましょうか。

「夜遊びしたい願望」は、人間の本能だと思う。
寝てなきゃいけない夜中に、公園で一心にあそぶ。タブーとされていることをしている間のドキドキ感。
その感覚が、生きる喜びと充実感、自分と他人への愛に満ちていれば、危ない間違いなど決して起こらないに違いない。

が、まあ健康を考えれば、夜中はちゃんと寝なくっちゃ。ね?
2003/7
ピエロ
キャンバスにアクリル

 F3 27.3p×22p
(個人所有)
子供の頃、西洋人形を集めている女性が近所に住んでいた。人形がぎっしり飾られた室内には、絹のサテン地のにおいやバラのドライフラワーの香りがこもっている。
その部屋に入ると、なんだか頭がくらっとするような気がして、息をとめてじっとしていたら、細面のピエロの人形と目が合った。おもしろい顔だったけれど、なんだか目だけが悲しそうで、私は早々に部屋を出た。

子供がなく、ご主人と二人暮しのその家の女性は、キャンディーの入った綺麗な透明プラスチックの箱をお土産にくれた。箱の取っ手には花とリボンが結ばれていた。

その箱の雰囲気の楽しさで、ピエロの目の記憶が半減した。
2003/6
楽園・夕暮れの島
キャンバスにアクリル
F6 41cm×31.8cm

2002年

(個人所有)
 今年は梅雨入りが遅く、たいした雨も降らない毎日。
ここ沖縄では早くも水不足が心配されている。

 ともあれ、この時期を過ぎるといよいよ夏本番がやってくる。日は長く、まだ夕方だと思いきや夜の8時になっていたり。いつまでも明るいのをいいことに、夜型行動が容認されているきらいがある。酒場が混みはじめるのは11時以降という有り様だ。
 これではイカン。沖縄長寿神話にも翳りの見える今、生活改善といきましょう!
 サンセットを楽しみながら飲み始め、暗くなったら帰る。そうすれば、後悔のない明日を迎えることができるでしょう。
・・・分かっちゃいるんだよね。
2003/5
楽園のエスケープ階段
キャンバスにアクリル
F3 27.3p×22p

2002年

(個人所有)
 NY・マンハッタンの多くのビルには、黒い鉄製の外階段が取り付けられている。火事などの際の、非常用として設置が義務となっているのだ。
 NYを舞台とした映画では、この階段はしばしば大道具として活用されている。
 手すり越しにプロポーズの場面は、今も昔もよく出てくるシーンだ。アクションものではこの階段を「かんかんかんっ」と走り降りるシーンも。運悪く錆びて朽ちた横棒をつかんでしまって転落するという設定もお定まりだ。

  いつも泊まるダウンタウンの宿では、中庭に面した部屋の窓外にこの階段の踊り場がある。
 やはり凝った装飾の手すりの隅に、古い小さな丸い鉄製パネルに施工会社のサインらしき綺麗な書体の彫り物が。手すり越しに素敵な中庭を眺めると、とってもロマンティック。

 誰ひとりプロポーズしに上がっては来ませんが。

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